俺の沈黙に、彼がちいさく息を吐いた。 喉奥で凍えたままの舌は、甘えを突きつけられたゆえだと理解したがそれでも言葉が出てはこなかった。 頭を抱いていた腕が去っていく。 触れ合っていた胸がはなれ、両脚のあいだから熱がひくように彼がいなくなり、そこではじめて立ちあがったのだと気づく。それを意識するかしないかというところでもう、名前を呼んでいた。その声があり得ないほど上擦っていて、急激に頬に血がのぼる。いくら目隠しをされているとはいえ情けない。 彼は、そういうこちらの羞恥をわらわなかった。 「少しはお仕置きらしくなってきた?」 どうこたえたらいいかわからなかった。彼が何のために立ちあがったのか探ろうと耳をそばだてながら身体を起こしかけた俺へと、まだおしまいじゃないよ、と叱責の声がとぶ。 「そもそも俺は同意した憶えはないのだが……」 「欄間に縄引いて吊るされたほうがよかった?」 そんなわけあるかと反