どうしてそんなことをこの態勢で囁かれているのかわからない。この視界のいったい誰が、俺にこんなことをするのかと逆に問いたい。他に、いるわけがない。たしかに色事を望む依頼人はいなくはない。だがそれは言ってみれば、夢使いへの偏見という名の「期待」でしかない。この俺がそれを受け入れるはずもない。それよりなにより、こんな不自由でみっともない、あられもないかっこうを許すのは、それを受け入れるのは、それは…… 「あなたになら、何をされてもいい。痛くても苦しくても、あなたが望むならなんだってする。どんなに恥ずかしいことも淫らなことも、なんでもできる。ほんとうに」 身体がどうしようもなく熱い。なにを、どうこたえたらこの気持ちを説明できるのか、伝わるのか、いっそこのまま貫いてくれと希えばそれですむならそうしたい。 だが、彼がそれを望まない。痛がると口にせずともすぐに身を引いた。我慢できる大丈夫だとくりかえして
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