若者はすなおに頷き、私のあとをついてきた。 日はまだ西に落ちるには早く、城壁にうつる塔の影はぼんやりと引き伸ばされて歪み、斜めに傾いで並んでいた。 煩いほどに鳴く烏の群れのほうを見やると、先週処刑されて塔に吊るされた夜盗の遺骸がひとつ、地面に腐り落ちていた。まかり間違えばああなっていてもおかしくはなかったのだと思うと、いつもはさして気にとめない腐臭がやけに鼻についた。 オルフェ殿下は残虐な刑を好まれない方ではあるが、祝祭事の少なくなった今、処刑は大きな見世物だとよく心得ておいでだった。 牢に送り込まれた後、ひとりしか監視をつけられず放り出された己をかえりみると、ずいぶんと信頼されているらしい。その証拠に、古神殿につないでおいた馬もちゃんと城へと連れてこられていた。 馬丁たちの態度は敬意にあふれ、いつもどおり蹄鉄の泥まで丁寧に拭われていた。鬣に絹紐が結われて編みこまれていたのは、どうやら私が