生誕120年 幸田文の家政とは母の技術ではなく、父の生活によるものであった。それをどのように受け止めなおすのか、幸田文の文業は父とその家を描き出すことから始まった、端的なその事実が静謐に張り渡されている。「雑記」という記録文学が幸田文の始まりに置かれる。ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』において役所広司演じる清掃員の平山が古書店で『木』を手に取る。幸田文が生誕120年を迎える。本特集がその名を継いでいくことを祈る。 目次予定*【対談】青木奈緒×牟田都子【エッセイ】安達茉莉子/石井ゆかり/石川美子/高崎卓馬/三宅唱…【論考】赤井紀美/安藤史帆/金井景子/雑賀恵子/佐藤泉/水藤新子/鈴木彩希/住本麻子/関谷博/中村和恵/藤本寿彦/松田法子/宮澤隆義/湯澤規子…【資料】古川裕佳 幸田文主要作品解題