能は、室町時代に観阿弥・世阿弥親子によって芸術性が高められ、江戸時代に幕府の儀式で用いられる芸能(式楽)となり、 各大名屋敷には能舞台が設けられ能がさかんに催されました。能装束も格式を求められ、紋織物や刺繡、摺箔など豪華で美しいものが用いられました。 丸紅のコレクションには、染織品が435件あり、そのうち能装束は66件とコレクションの15%を占めます。丸紅の前身である丸紅商店の京都支店では自社染織品の創作の参考にする目的で、大名家伝来品を含む能装束を蒐集しました。 男役の装束・女役の装束 展示風景 能装束は、役柄を表現する意味があり、様々な決まりごとがあります。例えば、男性の役柄に使用されるもの、女性の役柄のものがあります。男役の装束には狩衣かりぎぬ、法被はっぴ、側次そばつぎ、厚板あついたなどがあり、女役の装束には、長絹、舞衣、唐織、縫箔、摺箔などがあります。 《鼠薄茶段蒲公英模様厚板》明