礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎ラ・ボエシー「自発的隷従を排す」(16世紀)について 最近、理由があって、ルネサンス期のフランスの文人ラ・ボエシー(一五三〇~一五六三)の「自発的隷従を排す」という論文を読んだ。 これが、実に興味深い。二一世紀の今日読んでも、全く古くさくない。むしろ、二一世紀の今日、読まれるべき文章ではないかと感じた。 本日は、その冒頭に近い部分を、少し、引用してみたい。 今ここでは、かくも多くのひとびと、町、都市、国家が、ただひとりの圧制者の存在を一度で忍容してしまうことがどうしてあり得るのか、それだけを知りたいと思う。この圧制者は、彼等が彼に与える権力しか持たないし、彼等が彼を忍容しようとする気持をそれほどに持つのでなければ、彼のほうから彼等を害する力は持ってはいないし、また、彼