単行本にはあまり見かけないようだが、文庫本には「解説」がついている。この「解説」はいつごろからついているのか。 文庫本をテーマに書かれている資料を調査した。資料1のp.112に「そもそも文庫本に解説が付けられるようになったのは、昭和二二(一九四七)年に新しい装いで出発した新潮文庫が、その第一冊目に刊行した川端康成『雪国』に、伊藤整の解説を付けたのが始まりとされている。」とある。 資料2(都立多摩図書館所蔵)のp.55-58「ふくらむ「解説」」の中に、文庫本の「解説」について言及があるが、いつからと明確に書かれてはいない。 資料3のp.14-16「解説の歴史は作者と解説者の相克の歴史といえる」(風間十郎著)に、「解説は文庫本の中に完全に定着してしまっている。こうした解説つき文庫本の慣習化のそもそもは、昭和22年、新潮社が新しいかたちの新潮文庫を復刊させ、その第1冊めの川端康成『雪国』の巻末に