〇畑中章宏『21世紀の民俗学』 KADOKAWA 2017.7 21世紀に起きた(起きている)事象について、民俗学の切り口から語ったもの。著者の名前には、どこかで見覚えがあったが、思い出せないまま、読み終えた。雑誌(というかウェブマガジン?)「WIRED.jp」に連載されていた原稿だというのは、読みながら知った。本書の直前に読んだ諸星大二郎『暗黒神話』の感想を書こうと思って自分のブログを開いたら、『諸星大二郎「暗黒神話」と古代史の旅』(平凡社 太陽の地図帖、2014)に著者の畑中章宏氏の名前を見つけた。そうか、この本で出会っていたのか、と思わぬ偶然に少し驚いた。 私は、昔から民俗学という学問が好きだった。柳田国男や折口信夫はもちろん、1980年代には、宮田登とか赤坂憲雄とか小松和彦とか、歴史的・伝統的な事柄だけでなく、同時代の社会現象を民俗学的な手法でとらえなおす試みに強い共感を持っていた