誰もが知る高級フルーツブランド「千疋屋(せんびきや)総本店」。今年で184周年を迎える老舗企業だ。店内に並ぶフルーツは同社の目利きが揃えた一級品で、宝石のような輝きを放っている。 江戸時代に露店商から始まり、時代の移り変わりとともに変革を遂げ、ブランド力を高めてきた歴史がある。 発祥は江戸時代、もともとは槍術道場 千疋屋の創業は1834年(天保5年)にさかのぼる。創業者の大島弁蔵氏が武蔵国(むさしのくに)千疋村(現・埼玉県越谷市)で槍術の道場を営んでいた。しかし、天保の大飢饉で道場経営が行き詰まり、道場の庭や周辺で採れた農産物を川船で運搬し行商に転向。江戸葺屋町(現・日本橋人形町)の露店「水くゎし(水菓子)安うり処」で柿やぶどう、みかんを販売した。当時、愛称で「千疋屋」と呼ばれていたことから今に続く伝統の屋号が誕生した。
