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ブックマーク / maekawa-kenichi.hatenablog.com (9)

  • 328話 “On the Road”は、『オン・ザ・ロード』の方がいいのか - アジア雑語林

    ジャック・ケルアックが1957年に発表した”On the Road”が、河出書房新社の世界新文学双書の1冊として、『路上』(福田実訳)のタイトルで出版されたのは1959年のことである。その後何度か姿を変えて出版され、河出文庫に入ったのは1983年だ。 この小説が、池澤夏樹の個人編集による世界文学全集の1冊として、青山南の翻訳で出版されたのは、2007年のことだ。その時に、タイトルが『オン・ザ・ロード』と変わっている。その理由らしきことが、訳者当人が、そのの「解説」ページで次のように書いている。 <ジャック・ケルアックでまずなによりすごいと思わされるのは、その鋭い語感である。たとえば、『オン・ザ・ロード』(On the Road)というタイトルひとつとっても、じつにありふれた日常の言葉だが、よくぞ選んだと感心させられる。まず浮かぶのは、長いこと邦題にもなっていた「路上」という日語だが、

    328話 “On the Road”は、『オン・ザ・ロード』の方がいいのか - アジア雑語林
    freedomcat
    freedomcat 2011/12/20
    ジョン・ケルアック 路上
  • 330話 教養がないと困るのか  2/3 - アジア雑語林

    いままで、教養の無いまま生きてきて、困ったことは何もない。だから、このまま無教養人生を歩んで行くはずだったのに、ちょいとしたことがきっかけで、教養がないことで苦労することになってしまった。西洋世界に足を踏み入れてしまったからだ。 ある日、旅行歴史を調べてみたくなった。普通の旅行研究書だと、トーマス・クックの話から始めるのが常道で、すでに『観光の文化史』(中川浩一、筑摩書房、1985)や、『トマス・クック物語』(ピアーズ・ブレンドン、石井昭夫訳、中央公論社、1995)や、『トーマス・クックの旅』(城靖久、講談社現代新書、1996)などの基文献は読んでいた。しかし、そういう団体旅行以前の旅も知りたくなる。『グランドツアー』(城靖久、中公新書、1983)は、出版時にすぐ読んだ。じつに興味深い内容で、教えられたことも多い。だから、当然ながら、グランドツアー以前の、中世の放浪職人や巡礼のこ

    330話 教養がないと困るのか  2/3 - アジア雑語林
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    freedomcat 2011/12/20
    バックパッカーの歴史、グランドツアー、西洋
  • 331話 教養がないと困るのか 3/3 - アジア雑語林

    例によって、雑語林用の原稿を書いてしばらく寝かせている間に、新たなネタが見つかって、来2回のはずのこの項目が全3回に延長することになった。団伊玖磨のエッセイシリーズ「パイプのけむり」から、旅関連のエッセイだけを選んだ『旅にしあれば』(朝日新聞社、1986年)を読んでいて、教養と紀行文に関する話を書きたくなったからだ。どうでもいいことを先に書いておくと、私はいままで団伊玖磨の文章をほとんど読んだことがない。理由は簡単、たいしておもしろくないからだ。もうひとつ書いておくと、彼は自分の名を、新字体で「団」と書かれるのを嫌ったという話を聞いたことがあるが、私は気にしない。 このに収められている1編、旅先の目覚めについて書いた「幾夜寝覚めぬ」というエッセイは、世界各地の寝ざめと目覚まし時計について書き始め、筆は百人一首へと移っていく。旅先で目覚まし時計をセットしているとき、「幾夜寝覚めぬ」という

    331話 教養がないと困るのか 3/3 - アジア雑語林
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    freedomcat 2011/12/20
    バックパッカーの紀行文に教養のある文章は出てこないのではないかという考察
  • 358話 校正・校閲、あるいは編集者の仕事  5 - アジア雑語林

    ロンリープラネットの誤字の話がおもしろくて、編集者に会うとその話をしていたことがある。すると、「じつは、ウチでも同じような・・・」と、秘密にしておきたい過去を告白してくれた人がいる。著者も校正をするが(これを著者校という)、文の内容に最大の注意を払っているから、文字にはあまり気を留めない。これが著者校の欠点だ。書いた人が正しいと思い込んでいると、誤りはなかなか見つけられないものだ。 編集者は一歩さがって文章を読むから、著者よりは客観的に文章を判断できるのが、著者も編集者も見逃しがちなのが、表紙や目次や奥付や帯だ。まさか、表紙に誤字・誤記があるわけはないという根拠のない思い込みで、厳しく校正しないことが多いのだ。どのだったか思い出せないが、目次では第3章は134ページからとなっているが、ページをめくると、そこはまだ第2章の途中だったということがあった。ページ構成が変わったのに、目次には

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    freedomcat 2011/12/20
    ウィキペディア
  • 364話 駐在員の異文化体験 - アジア雑語林

    その書名から、企業駐在員の異文化体験を考察しただろうと想像して、見つけてすぐに注文したのが、『外貨を稼いだ男たち  戦前・戦中・ビジネスマン洋行戦記』(小島英俊、朝日新書、2011)なのだが、読んでみれば羊頭狗肉、看板に偽りあり、ビジネスマンの駐在体験記ではなく、日経済史と海外進出企業の話だった。元は三菱商事の社員だったという経歴から、興味深い異文化体験談が読めるのだろうと期待した私が甘かった。 ついでに、余計なことを書いておくと、このでは戦後の部分はほとんど書いてないのに、唐突に毎日新聞欧米局長・高田市太郎の戦後の海外旅行の話が出てくる。そして、『毎日新聞百年史』から、高田の帰国後の様子を引用しているのだが、その引用部分が、拙著『旅行記でめぐる世界』で私が引用した部分とまったく同じなのだ。私が省略した部分も、同じように省略しての引用なのである。だからどうだということではないが、あま

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  • 301話 読書の話 本を探すいくつかの方法 - アジア雑語林

    こういう話を何度か耳にしたことがある。 「インターネット書店というのは、ピンポイントでを探して買うには便利だが、屋の棚を眺めていて、まったく知らなかったを偶然見つけて、読んでみたらおもしろかったというような体験はできない。ネット書店よりも、やはり、現実の屋がいい」 この感想を否定はしないし、私も屋巡りが好きなのだが、ネット書店だって、使い方しだいでは、探しの散歩ができる。ややプロ的なやり方だが、ちょっと紹介してみようか。「プロ」というのは、プロの読書人ということだ。狭い意味では、書評の紹介を商売にしている人のことだが、もう少し意味を拡大すれば、を読むことが仕事とつながる人たちのことで、ライターや小説家やジャーナリスト、研究者や編集者や書店員などをさす。 私の場合は、こうやってを探すという実例を、いくつか紹介してみよう。インターネット以前なら、書店の棚を眺めるか、新聞や雑

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  • 303話 読書の話のおまけ  本を運ぶショルダーバッグの話 - アジア雑語林

    退屈な年末年始をお過ごしの方に、「粗品」代わりのおまけの話です。いつもより、ちょっと長めのサービスです。 荷物を手に下げるのはどうも苦手で、考えてみれば、高校生のときに、自作のショルダーバッグを使って以来、いままでずっとショルダーバッグを愛用している。考えてみれば、60年代はもちろん、70年代でも、男はバッグなど持っていないものだった。80年代のバブル時代になり、ヤクザとプロ野球選手がクラッチバッグを持つようになるが、一般のサラリーマンのほとんどは、スポーツ新聞や週刊誌を片手に満員電車に乗ったものだ。書類などを持つ時は、会社の書類袋に入れてかかえていた。手提げバッグを持っているのは、管理職というイメージがあった。ただし、編集者は原稿を入れるために、バッグを持っている者もいた。そういえば、007の影響で、アタッシュケースが流行ったことがあったが、そういう話を始めるとますます話が横道にそれるの

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  • 320話 若すぎる死 - アジア雑語林

    黒岩比佐子の著作には、私の興味範囲と重なる部分が多いので、読んでみたいとは思いつつも、今現在の関心とは重ならないので、「今は、コレとアレを読んで、それから、そのうちに黒岩のを・・」と思っているうちに、著者は昨年2010年に、52歳で亡くなってしまった。自分よりも若いから「若い死」というだけでなく、世間一般でも、やはり若い死だろう。ライターとしても、残念な死だ。 黒岩比佐子の死を知って、やはり若くして亡くなった人たちの名が浮かんだ。ライターなど出版関係者では、どういうわけか男より女の方が若くして死ぬような印象を最初に抱いたのは、井田真木子の死に出会ってからだ。2001年、44歳で亡くなったライターだ。 井田とはまったく面識はないが、著作のいくつかは読んでいた。彼女の存在を意識したのはその著者よりも、雑誌やテレビで発表される書評だった。彼女が紹介するは、私がすでに読んで「上出来!」と感じた

    320話 若すぎる死 - アジア雑語林
  • 334話 やっぱり買ってしまったトイレの本 - アジア雑語林

    年に何回か、あるキーワードを使ってアマゾンで探しをやっている。著者名での検索は、このところの出版不況のせいか、好きな書き手の新刊はほとんど見つからない。活きのいい若い書き手の登場もない。だから、テーマなどで検索する。 外国書の場合は、“Thailand”や”Bangkok”はもちろん、国名に”Food”をつけた検索もよくやっている。年に1回程度検索しているのが、”toilet” 、つまり「便所」調べなのだが、”toilet”で検索すると、幼児やペットにトイレ訓練のテキストが多くヒットしてしまうので、”loo”(便所)や”world”などといった語を補って検索している。 先日、今年初めてのトイレ検索をやってみたら、おもしろそうなが見つかった。よく見たら、以前もチェックしたことがあるで、「まあ、そのうち、いつか」と思っているうちに買うのを忘れただった。2006年出版のなのだが、2

    334話 やっぱり買ってしまったトイレの本 - アジア雑語林
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