「馬がほしいな」 ある昼下がり。 叔母のみーちゃんが、なんの前触れもなく突然そうつぶやいた。 それまでの数十分間、彼女は、「カタコト日本語の中国人女性」を見事に演じ、 僕の腹筋を崩壊させて満足したところだった。 僕「ねえみーちゃん、『馬がほしい』って、中国人的に言ってみて」 みーちゃん「もうやだ。結構体力使うんだから」 誰も頼んでないうちはやるくせに、頼んだらやってくれない。 僕「馬、なんでほしいの?」 みーちゃん「通勤に便利だし」 僕「・・・」 どうやら、みーちゃんは馬に跨って通勤したいらしい。 ちなみに、彼女は自転車通勤だ。 おそらく、車がほしいとは言わないのは、車の免許を持っていないから。 そして数秒の沈黙を経て、彼女は暴れん坊将軍のメインテーマを口ずさみ始めた。 颯爽と馬で出社するところを妄想しているのだろう。 そうこうしていると、暴れん坊将軍のテーマのなかママンが買い物から帰って