人生が台無しになる、とは言う。ただし、台が無くなったあとの人生についてはあまり語られない。死んでしまう人もいるだろうが、死なないで生きている人もいるだろう。台が無い人生。 首には縄がかかってる。台が無いが、かろうじてつま先を伸ばせば地面に届く。手は縄が首に食い込まないようにふさがっている。こんな状態でぶらぶらしながら体勢をなんとか維持して、呼吸をなんとか維持して……。こんなことでは自分の足で立ち、歩き出すこともままならない。両手を使ってなにかを作ることもできないし、なにより頭を使う余裕がない。 おれの人生はいつ台無しになったのか。考えてみてもよくわからない。大学を出ていれば少しはましだったろうか。それよりも、もっと学校とかいうところに順応して、人間関係というものを築けていれば別だったろうか。あるいは、家族というものともっと親密であればよかったのだろうか。考えてみてもきりがない。 台がある人