「これで言い渡しを終わります」 裁判長の事務的な判決が言い終わるやいなや、傍聴席から 「頑張れ!」「いつまでも応援するよ!」の大合唱。 ガラスのパネルで仕切られた向こう側の席にいた被告たちが 「民主を我らに!」「みんながんばろう!」などと言って拳を挙げ、刑務官に引っ張られ法廷をあとにしていく。 何度、こんな光景を見たことだろう。私はもう1年半以上、香港で裁判所通いを続けている。今やここだけが、市民の心の叫びを直接見聞きできる唯一と言っていい場所になっているから。 忘れないために書いておく私は2018年7月に香港に赴任した。2019年夏から本格化した大規模デモは年を越しても続いた。それを最初から現場で見続けてきた。 時に香港の未来を熱く語る若者たちに胸が熱くなったり、過激化するデモで混乱していく街の様子に心を痛めたりしてきた。 香港の抗議デモ(2019年)そして2020年、香港国家安全維持法