ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)(1850-1904)が、東京帝国大学にて教鞭をとっていた際の講義録には次のような発言が残されています。 「妖精」という語が、霊という意味で用いられたのは新しいことです。もともとは、超自然的な力である魔法という意味でした。ウォルター・スコット卿など昔の作家たちも、この意味でときどき使っていました。ずっと後になって、この「妖精」という語は、超自然的な存在とか人間に適用されるようになりました。それまでは、これらの存在や人間は、ElとかElfでした。 El-peopleとは、北方の妖精たちのことでした。 「妖精文学」(現代教養文庫『おとぎの国の妖精たち 小泉八雲怪談集』 池田雅之訳、1995、p. 283) ここに、El-people エル・ピープルという非常に気になる単語が登場します。 これは同じ訳者により後年編まれた角川文庫『小泉八雲東大講義録』(2019)に
