10年前の9月30日、東海村の核燃料加工会社JCO東海事業所で、核分裂が止まらなくなった。臨界事故。漏れ出した放射能を恐れ、住民は逃げまどい、東海村とその周辺はパニックに陥った。作業員2人が亡くなった。民生用原子力施設の事故で死者が出たのは、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)以来という大惨事だった。国内原発の安全神話が完全に崩れた。この10年の間に、JCOは燃料加工をやめたが、他の原子力施設では依然として大事故や不祥事が相次いでいる。石油燃料の高騰や二酸化炭素削減という昨今のトレンドから、原子力エネルギーを見直す動きがある。それはそれでいいのだが、大事なことが忘れ去られようとしていないだろうか。(この企画は吉野慶祐、東郷隆が担当します) 「蒸し暑い日でした。ぼくは放送委員としてお昼の放送を流すため、給食を食べながら放送室にいました。すると、急に先生が飛び込んできて、『早く窓を閉め