再就職が成就しないのは、僕の能力や人格や経歴だけでなく、僕に確固たる「芯」がないからである。ふらふらして、だらしない。こんな人間を採用したがる有力企業などあるはずがない。そんな絶望の淵で僕が思い出したのは、教室の片隅でアスファルトに咲く花のように、ひっそり、だが力強く生きていた高校時代の自分の姿である。人間は食べ物で出来ている。ならばあの、アスファルト時代に食べていたものを食せば、芯を取り戻せるのではないか。そんな浅はかな想いがメタボ危機のカラダを衝き動かしたのである。 神奈川県平塚市にある日本そば屋、大黒庵。20数年ぶりに訪れたその店は、老舗の蕎麦屋さんにもかかわらず、開業以来60年間、ほとんどのお客さんがラーメンを頼むというワンダーなお店で、フツーなら蕎麦屋からラーメン屋へジョブチェンジするところ、あえてそれをしないあたりに店主の芯を感じる。店頭のサンプルケース内で、こんな凶悪なブツを