<犯行動機はコントロールできないが、犯罪機会をなくすためにできることはある。犯罪を未然に防ぐには「場所で守る」発想が必要とされるが、そのヒントを日本の歴史的建築物からも探すことができる> 京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが放火された事件(2019年)は、社員36人が死亡するという悲劇だった。この事件を審理した京都地裁は、先月、殺人罪に問われた被告に死刑を言い渡した。その後、弁護人は判決を不服として大阪高裁に控訴している。 この判決をめぐる報道やコメントを見ると、日本への「犯罪機会論」の導入は、依然として低レベルにとどまっていると言わざるを得ない。というのは、報道やコメントの7割が犯人を非難するもの、そして3割が被害者に同情するもので、犯行現場(施設)に関するものが、ほとんどないからだ。こうした思考では、未来の犯罪を防ぐことはできない。残念ながら、被害者は無駄死にになっ
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