今の新宮市と那智勝浦町を結び、紀勢線の一部になった旧「新宮鉄道」(15・5キロ)の開業から100年となることを記念し、地元の鉄道ファンらが、博物館明治村(愛知県犬山市)に動態保存されている同鉄道の客車2両を里帰りさせる計画を進めている。実現すれば約80年ぶりの帰還となり、紀伊半島初の鉄路を駆け抜けた車両を通じ、林業などでにぎわった一帯の歴史や台風12号災害からの復興をアピールする。(芝篤司) 新宮鉄道は、熊野川河口に集まった木材を勝浦港へ運ぶため、地元の経済人らが計画。1912年(大正元年)12月に三輪崎―勝浦間が開業し、翌年3月に新宮まで伸びた。木材輸送だけでなく、観光面でも大きな役割を果たし、紀南地方の知名度向上の面でも、地域に貢献した。 開業に合わせて、地元材を使った客車が製造され、このうち「ハフ13」と「ハフ14」の2両は、34年の国有化の際、山形県の私鉄へ売却された。後に明治村が