(2009年1月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 金融革新は、金融機関の幹部らを大金持ちにしたものの、結局は大混乱を招いた。これでイノベーションは抑制されるだろうが、いずれは新規制を逃れる新たな方法を生み出すに違いない。 市場の愚かさをつぶさに観察した故ジョン・ケネス・ガルブレイスにとって、金融とイノベーション(技術革新)は根本的に相容れないものだった。彼曰く、新しい金融商品はすべて、「1つの例外もなく、既に確立された商品を少し変えただけのものであり、その特徴は金融界の記憶力のなさのおかげでそれと認められるものだ」 金融の世界は「車輪の発明を何度も繰り返し歓迎する。そして新しいバージョンはしばしば、前より少し不安定になっている」――。 新たな金融商品が爆発的に成長した信用バブルが大崩壊を演じた今となっては、多くの政治家は、ガルブレイスはむしろ金融革新がもたらす被害を甘く見てい