「地球にやさしい『ヤシノミ洗剤』」は、1971年に発売されて以来、環境意識の高い消費者に支持されてきたロングセラー商品である。製造・販売を行っているのは、大阪市に本社があるサラヤだ。 ところが2004年6月、テレビ朝日が制作する「素敵な宇宙船地球号」という番組のスタッフからサラヤの広報に次のような内容の連絡が入った。 「ヤシノミ洗剤」の原料でもある、パーム油が生産されているボルネオ島で深刻な環境破壊が起きている。世界的なパーム油の需要拡大に伴い、熱帯雨林が切り開かれ、アブラヤシの生産面積が急激に拡大したためだ。 在来種であるボルネオゾウやオランウータンの生息域が脅かされており、生物多様性減少の危機が進行している。かつては熱帯雨林の奥深くで生息していたボルネオゾウは行き場を失い、人家の近くに現れるようになった。その結果、害獣として駆除されたり、小動物用のワナにかかって命を落とすといった