自民党派閥の政治資金パーティー券を巡る裏金事件の捜査は区切りを迎えたかに見える。だが、「私の経験を踏まえると、これで終わるはずがない」と予測する元東京地検特捜部副部長がいる。元衆院議員でもある弁護士の若狭勝さん(67)。事件の話題になると、目の奥を光らせた。 東京都千代田区の法律事務所を訪れると、テレビで事件などを解説する若狭さんが、聞き慣れた穏やかな口調で語り出した。一連の裏金疑惑は昨年末、東京地検特捜部が安倍派と二階派の事務所を家宅捜索し、正念場を迎えた。 「安倍派の会計責任者は口が堅かったようです。口が堅い人は最初から口が堅い。つまり特捜部からすると、捜査のキーパーソンとなる会計責任者が口を割らなければ、安倍派幹部の刑事責任の追及は難しいと当初から分かっていたはず。にもかかわらず、年末年始返上で全国の検事に応援を求めて捜査するということは、別のターゲットが視野に入っているのではないか