今週のEconomist誌は、今回の問題が「資本主義の全面的危機だ」といった批判に反論し、派生証券の特殊性を規制当局が十分理解していなかったことが原因だとのべている。私の感想もまじえてメモしておく:マルクスをもじっていえば、いま投資銀行は鎖以外に得るものをもたない。世界中で「新自由主義」が終わったという大合唱が始まっているが、投資銀行が規制されていなかったというのは神話である。それは四半期ごとにSECに提出される膨大なファイルを見ただけでも明らかだ。問題は、その規制が今回のような事態を想定していなかったことであり、これは市場の失敗というより規制の失敗である。 大恐慌のさなかの1933年に、グラス=スティーガル法が成立した。これは銀行が証券業を兼営していたために株式の暴落が銀行の破綻をまねいたという認識にもとづいて、両者を分離するものだった。これは銀行のリスクは預金者に転嫁できないが証券の