毎年1兆円のスピードで膨張する社会保障予算や、恒常化している財政赤字によって、日本の財政は急速に悪化している。将来世代に、担いきれないほどの税負担を背負わせつつある。公的債務残高(対GDP)はいまや200%に迫る。 前回のコラムで述べたように、国民貯蓄は減る一方だ。もはや日本が選択できる解決策は限られている。財政の持続可能性を高め、世代間格差を是正するためには、抜本的な財政・社会保障の改革を推進していくほかない。 であるにもかかわらず、「日本の国債はその多くが国内で消化されているから何も問題ない」との意見がいまだに根強くある。確かに、日本銀行「資金循環統計」(2011年9月末時点)を見ると、国債残高(財投債を含む)の92%を国内の投資家が保有している。内訳は、銀行などの金融仲介機関が65%、公的金融機関が12%、中央銀行が9%、家計が3%だ。海外投資家の保有割合は8%にすぎない。 この議論
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