今年8月以降、自殺者数が前年に比べて増加しているというニュースが飛び込んできた。また、有名人の自死も相次ぎ、その連鎖が心配される。自分の携帯電話番号を公開し、「いのっちの電話」という相談活動を10年続けている坂口恭平さんと、精神科医の斎藤環さんが、語り合った(構成=古川美穂 撮影=木村直軌) 1日に100人の相談が 斎藤 8月以降、自殺者が増え続け、特に女性の増加率はこれまでにない急カーブを描いています。コロナの影響でひきこもる生活が長引き、虐待やDVの件数が増えている。家庭内の「密」な状況が女性の自殺に影響を及ぼしている可能性もあると思います。恭平さんは自殺防止の電話相談を個人で続けていますが、男女比はどうですか。 坂口 コロナ以前からですが、電話をくれる8割は女性です。そのうち3割ぐらいはDVや身内での性被害の問題がからんでいる。それぐらい「家庭」が危険な場所になっています。今も、家族