帝国の衰退、攻撃国家の電撃戦、独裁者の暴発……ウクライナ侵攻の本質と世界の対応 長い時間軸で物事を見て21世紀という時代にどう関与するかが問われる 三浦瑠麗 国際政治学者・山猫総合研究所代表 帝国による覇権の交代が起きるときには大戦争が誘発されやすいという仮説は、長期にわたって世の中に存在してきた。だが、歴史をひもといてみると、一般に考えられているのとは違って、新旧の帝国は必ずしも大戦争を経て覇権を交代したわけではない。 実際、帝国はその衰退期において、「手の広げすぎ」と「軍備の負担」によって弱体化する。つまり、覇権戦争における敗北というよりも、帝国が自滅するというのが、一般的な衰退のプロセスである。 衰退を招く原因は主に財政と経済だ。重い軍備負担や産業力の低下は、国家財政の破綻(はたん)を招き、軍事的プレゼンスの維持が出来なくなる。帝国がそうした現実に適時に賢く対応して撤退できればまだマ