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ブックマーク / tmaita77.blogspot.com (5)

  • 10代の悩みの階層差

    多感な10代(ティーン)は,各種の悩みがついて回る時期です。しかるに,10代は一枚岩の存在ではありません。教育社会学ではこれまで,性や学識地位(学生か勤労青年か…)による違いが分析されてきましたが,社会階層という変数を入れてみるとどうでしょう。 「またか」と顔をしかめられた方もおられると思いますが,こういうことを明らかにするのが私の商売ですので,ご容赦ください。今回は,10代の悩みの階層差を分析してみようと思います。 用いるデータは,内閣府の『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年度版)です。調査では,対象の青年層に対し,父母の最終学歴を尋ねています。 http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf_index.htmlの13~19歳の対象者(以下,10代)は349人です。前回と同様,父母とも大卒の者を「上層」,

    10代の悩みの階層差
  • 面積図でみる大学教員の構成変化

    自分が言いたいことを端的に分かりやすく伝える際,グラフはとても有用です。私は視覚人間ですので,統計的な傾向を指摘する時は,ベタな表をドカンと載せるのではなく,できるだけグラフ化するようにしています。 さて,昨年の9月25日の記事では,大学教員の構成変化を明らかにしたのですが,そこで分かったのは,大学教員の非正規化がすさまじい勢いで進んでいることです。 こうした傾向が最も顕著なのは人文科学系の教員です。人文科学系の教員は,1989年では36,773人でしたが,2010年では67,566人にまで増えています。しかし,その構成はガラッと変わっているのです。 1989年では①務教員が51.9%,②定職あり非常勤教員が26.5%,③専業非常勤教員が21.6%であったのが,2010年では順に,34.3%,10.6%,55.1%となっています(文科省『学校教員統計調査』)。*①と②の重複分は除かれてい

    面積図でみる大学教員の構成変化
  • 有力大学合格者のジニ係数

    ジニ係数とは,富の格差の度合いを測る代表指標ですが,用途はそれに限られません。さまざまな現象の偏りの程度を可視化するのに使うことができます。 今回は,有力大学への合格者数が高校間でどれほど偏っているかを,この指標を用いて明らかにしてみようと思います。ジニ係数の応用例の提示です。 サンデー毎日特別増刊号『完全版・高校の実力』(2010年6月12日)から,全国の4,999高校について,2010年春の主要大学の合格者数を知ることができます。以下のような形で数値が示されています。 私は,東京都内の437高校の有力大学合格者数を調査しました。ここでいう有力大学とは,東大,京大,東工大,一橋大,お茶の水女子大,東京外大,早稲田大,慶応大,国際基督教大,上智大,そしてMARCHの5大学を合わせた15大学です。 437高校のうち113校(25.9%)は,これらの大学への合格者を1人も出していません。合格者

    有力大学合格者のジニ係数
  • 女子生徒の理系志向の国際比較

    武蔵野大学の藤原千賀教授より,『男女共同参画社会と市民』(武蔵野大学出版会,2012年)を謹呈いただきました。構成のバランスがよく,主要分野について,男女共同参画やジェンダーに関連する統計資料が数多く提示されており,とても参考になります。 http://www.musashino-u.ac.jp/shuppan/books/detail/bookdanjo.html 私がとくに関心を持ったのは,2章の「教育・学習分野の男女共同参画」です。24頁に,大学生の女性比率が専攻分野別に掲げられているのですが,工学は10.6%,理学は25.8%,医科・歯科は33.6%というように,理系の分野では,女子学生が殊に少なくなっています(2004年,『学校基調査』)。 世の中には男女が半々ずついることを考えると,これはすごい偏りといえます。まあ,文系には女子が多く,理系には男子が多いというのは,よく知られ

    女子生徒の理系志向の国際比較
  • 専攻別にみた博士課程修了生の惨状

    前回は,2012年3月の大学院博士課程修了生について,無業者率と死亡・進路不明率を計算しました。文科省の『学校基調査』では,博士課程修了後の進路として,以下のカテゴリーが設けられています。 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528 ①:進学 ②:正規就職 ③:非正規就職 ④:臨床研修医 ⑤:専修学校・外国の学校等入学 ⑥:一時的な仕事 ⑦:左記以外の者 ⑧:死亡・進路不明 無業者率とは,⑥~⑧の者が全体に占める比率です。要するに,定職に就けなかった者の比率です。死亡・進路不明率とは,⑧の比率のことをいいます。前回の記事で出した数字によると,人文科学系博士課程修了生の65.3%が無業者,19.0%が死亡・進路不明者という惨状です。 ところで,人文科学系は,文学,史学,そして哲学という専攻を内包しています。これ

    専攻別にみた博士課程修了生の惨状
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