どうしてこの本につながったのか。どなたかのブログで知ったのだったか。分からなくなってしまったが、しばらく前に市民館にリクエストを出していて、「届いています」という電話をもらい先日受け取ってきて読み始めた。 古き良き時代を思い出すようなお店だからと、「うしろむき夕食店」という通り名で呼ばれる夕食店。店主は20歳から年をとらないことにしたと言っているが、その3倍でもきかないと思われる年配で、渋い着物に割烹着で白髪をきりりとまとめた姿は紺色の暖簾を背にすると絵画のように映える志満さん。昔は芸者さんだったらしい。 この夕食店(志満さんによれば、洋食店でもレストランでもなく、家庭の夕食のような、洋食も和食も混ざり気取らずほっとする料理を出す店)を舞台に、一話ごとに訪れる客を主人公にして紡がれる連作短編集になっている。 客として登場した人たちが、また別の話の登場人物とつながっていたり、新たに知り合いに
