テレビで話す人が「太宰治さん」「湯川秀樹さん」「渋沢栄一さん」などと、歴史上の偉人(とくに近現代の偉人)を「さん」付けで呼ぶのを聞くことがあります。 私はそれがちょっと気になります。偉人などの歴史上の人物に敬称は要らない、というのが(活字の世界などの)従来の常識だったのではないか? これには偉人の場合、呼び捨てのほうが「歴史に名を残した別格の人物」というニュアンスが出て、かえって敬意をあらわすという感覚があるように思います。同時代人についても、専門家や著名人として認めているからこその「敬称略」ということがある。 でも最近は、そういう感覚が必ずしも通用しなくなっているのかもしれません。テレビの様子をみるかぎり「歴史上の人物でも敬称をつけないのは失礼」と思う人は増えているようです。 *** 私は自分の文章では、原則として「存命」あるいは「比較的最近まで存命」の日本人は、巨匠であっても「さん」な
