女将軍に仕える美男3000人が暮らす大奥――。男女が逆転した江戸時代という斬新な設定で話題となった漫画「大奥」(白泉社)が、16年にわたる連載を終えてこのほど完結した。重厚で緻密なストーリーに加え、ジェンダーの観点からも注目を集め、累計600万部を売り上げている。社会における男女の役割を取り換え、見えてきたものとは何か。作者のよしながふみさんに聞いた。【竹内麻子】 スタートは「面白いでしょう!?」 ――若い男性だけがかかる謎の疫病がはやり、男子の人口が激減した結果、女性の将軍が誕生し、男性だけの大奥が作られる。この男女の役割が逆転した大奥という発想はどのように生まれたのでしょうか? 学生時代、女王様の国をファンタジーとして描けないかと思いつきました。ただ、ゼロから服装や言葉を組み立てていくのは私にはとても難しくてできないなと思い、長いこと忘れていたのですが、2003年にテレビドラマの「大奥