「私の彼氏を悪く言わないで!」 評論が読まれなくなったもうひとつの理由。それは、評論家のような“権威”から、あるいは自信満々な気鋭の書き手から、上から目線で「正しい観方(みかた)」なんて教わりたくないという反発心が、特に若年層のあいだで強いからだ。 なんだか偉そうな肩書のついている他人が、自分の愛している作品を勝手に分析したり、腑分けしてああだこうだとかき混ぜたりすることには、我慢がならない。ましてや、良い点だけでなく悪い点まであげつらって、「ここが良くない」などと意地悪に指摘するなんて、不愉快極まりないというわけだ。 彼らは絶賛しか目に入れたくない。だから、ファンブックしか買わない。自分が好きなものを全肯定してくれる言説しか、読みたくない。 ここでヒントになるのが、前回記事の森永氏による指摘だ。オタクになりたい若者たちが目指すのは“推し活動の楽しさ”である、という旨。 「推し活動であれば