「あっ、こらっ、声(こえ)が大(おお)きいわよ。――じゃあ、こっちの天(てん)ぷらは何(なに)かしらぁ」 「す、すいません。――それはチュプラです」 「ああ、チュプラねぇ。あの魚(さかな)も天(てん)ぷらにしちゃうんだぁ。――それで……、やってもらえるかしら?」 「もちろんです」 「ほんと! よかったぁ! ああっ、それと、このことは、くれぐれも内緒(ないしょ)にしてね。他(ほか)の従業員(じゅうぎょういん)にもよ。あなただけの胸(むね)に納(おさ)めておいて」 「わ、わかりました」 「彼(かれ)、英雄(えいゆう)だし、すっごく良(い)い男(おとこ)だから、周(まわ)りの女(おんな)がだまってなくて……。焦(あせ)ってはいるんだけど、私、応護主教(おうごしゅきょう)の位(くらい)もらってるじゃない。だから、うかつに告白(こくはく)とかできないのよねぇ……」 英雄(えいゆう)と応護主教様(おう