D-A変換LSIの主要な仕様の定義と評価方法,そして音質との関係を考察する。デジタル・オーディオの実設計において,THD+N(全高調波歪みと雑音の和)やダイナミック・レンジ,S/Nなどに代表される主要な仕様が品種選択の判断材料になる。加えて,クロック・ジッタや電源構成,低域通過フィルタ,信号経路などLSIを実装する際に重要となる要素を十分検証しなければならない。このような総合的な音質評価・判断は機器設計者にとって重要な業務である。 主因はTHDか,+Nか D-A変換器の主要な仕様としてまず挙がるのが,THD+N特性である。THD+N特性はデバイスの非線形(非直線性)歪みに起因して発生する高調波歪みと,雑音の和と定義される。高調波歪みとしては,基本波信号周波数に対して大体7次程度までを取り上げる。一般的なD-A変換LSIでは,信号レベルがフルスケールである0dBFSにおいて,入力信号周波数が
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