今回から数回にわたり水力発電を取り上げる。日本の再生可能エネルギーは全電力発電量の1割を占めるが、そのほとんどが水力である。最近では、水道事業や農業用水路がもつ余剰エネルギーを利用した小規模の水力発電を設置しようとする動きが盛んである。都市部から中山間地区まで、地域でもできる身近な電力として注目が集まる。 固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り条件がかなり魅力的になったことで、新規事業に現実味が出てきた。今回は、日本の水力発電を取り巻く環境と、そのなかで導入されるFITの意義および可能性について解説する。 長く続いた試練の時代 水力発電は、水が持つ位置エネルギーを機械(回転)エネルギーそして電力に変換する。出力は、「9.8×流量(立方メートル/秒)×有効落差(メートル)×効率」の式で示される。位置エネルギーが持つ圧力と水量に比例する。 様々な種類がある。河川の流れを利用する「流れ込み式」