発生した問題 マイコンに内蔵してあるマスクROM上のソフトウエアのバグによって,作ったばかりの数万個のマイコンを廃棄せざるを得なくなり製品出荷も遅延――この失敗を糧に生み出された日本ビクターの不良プログラムの救済技術を紹介しましょう。 最近はフラッシュ・メモリを搭載したマイコンが安くなってきましたが,同社製AV機器では,マスクROM版のマイコンを現在も多用しています。「当社ではマスクROM版のコストがフラッシュ・メモリ版に比べて数分の1になることが多い。幾つものマイコンを使う機器全体で見ると,マスクROM版にすることで数千円コストを下げられる」(同社)からです。 では,冒頭のトラブルを詳しく説明しましょう。1989年の夏,日本ビクターで据置型VTRのメカニカル・コントロール(メカコン)用ソフトウエアを開発していた知久守氏は青ざめました。量産直前の段階で,品質保証部から「再生コマ送りでサーボ