『日経ビジネス』は経済誌としての50年以上にわたる歴史の中で数多くの名経営者や元宰相らにインタビューしてきた。今では鬼籍に入って話を聞くことのできない方や現役を退いた方を中心に、時代を体現した“寵児”たちのインタビュー記事を再掲する。 (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。 答 たしかに、ポバティー・イン・プレンティ(豊饒の中の貧困)という感じが強い。こういう時期は戦前にもあった。昭和初期は大変な不況でねえ。ボクは昭和4年に大蔵省に入ったんだが、まるで宝捜しのような気分だったね。 当時はいまと違ってデフレだ。中小企業はバタバタと倒れるし、大銀行が取り付けにあって倒産した。一方で財閥はますます地歩を固め国民の反感が強まった。しかも、不況が農村まで浸透し、青年将校の決起となった。5・15事件に続いて満州事変が起こり、日華事変、第二次大戦へとつながっている。 そういう経過をみていると、い