海にはがれきが流れ込み、漁に使う船も多くが流出。再開には時間がかかりそうで、消費地の中国では、在庫の確保に走る業者も出始めている。 岩手県が主な産地の干しアワビは肉厚で味が良く、中国などで「吉浜(きっぴん)アワビ」と呼ばれ、高級食材として高値で流通している。 大震災では、大船渡市三陸町の吉浜(よしはま)湾は高さ約15メートルの津波に襲われ、漁協の建物は全壊。296隻あった船も11隻しか残らなかった。干しアワビは天然物を使うが、吉浜漁協の木川田洋一郎生産課長(49)は「津波で浜はずいぶん変わってしまった。アワビが全滅した可能性もある」と心配する。岩手県漁連は、稚貝を放流しても、とれる大きさになるには約5年かかるうえ、海中のがれきの撤去や港の整備などにも少なくとも2〜3年、完全復活には10年を要するとみている。