佐々木:あったと思います。例えば小僧さん時代の一休さんが活躍する世界がそうです。よく当時の寺の姿がドラマなどで描かれる際に、寺に和尚が1人いて、その周りにかわいい小僧さんが沢山いますね。そんな小僧は、みんな村の口減らしや、やっかい払いで、寺に預けられている子供たちです。このように寺に子供を預けるという風習は、昔からあったのです。戦前まであった。 結構、最近まで寺に子供を預けることが、あったのですね。 佐々木:私の同僚の先生にも小さい頃、村の寺に預けられ、そのまま禅僧になった人がいます。前回までの話で、本来の仏教には必須であるはずの「律に基づいたサンガ」が日本にはなく、絶望した人を受け入れることをしてこなかったことが、仏教の衰退につながっていると言いました。しかし日本にも、律は存在しないけれど行き場のなくなった人の受け皿として寺院が機能した時期は確かにあります。釈迦の仏教ほど完全ではないにし