[タイトルを少し変えました。最後に何故か大フィルの話をしています。] しつこくもう一度だけこの本について。 帝国の残影 ―兵士・小津安二郎の昭和史 作者: 與那覇潤出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/01/14メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (15件) を見る 與那覇潤『帝国の残影 - 兵士・小津安二郎の昭和史』の第3章「暴力の痕跡 - 戦争の長い影」と第4章「叛乱の季節 - 中国化と日本回帰」は、敗戦から1960年までの同じ時代を別の視点から論じており、小津安二郎の同じ作品群が別アングルで語り直される形になっています。 第3章は小津の映画に戦後の戦争体験(の表象)を読む作業であり、小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉』などを援用しながら、1955年前後での戦争体験の変容を確認したうえで、まさにこの決定的な時期に小津安二郎が沈黙しているこ