ベストセラー作家・吉田修一氏の傑作小説「犯罪小説集」を、映画『64-ロクヨン-』などの瀬々敬久監督が映画化する今作は、青田に囲まれたY字路を舞台に、犯罪をめぐる“喪失”と“再生”を描く慟哭のヒューマン・サスペンス。 綾野が演じるのは、12年前にY字路で起こった少女失踪事件の容疑者として疑われ、追い詰められていく、中村豪士(たけし)。友人もおらず、偽ブランド品を売る母親の手伝いをしながら生きる孤独な青年だ。 役を“演じる”のではなく“生きる”という感覚で作品に臨む綾野にとって、豪士を“生きる”ことは辛くなかったのか?――そんな疑問が浮かんでしまうほど、豪士の孤独は苦しく映る。 しかし、その問いはすぐに否定され、「豪士は誰かに見つめられているわけでもなく、誰かに興味を持たれているわけでもない。自分の存在を認知されず、ずっと1人で何も変わらないと分かっているから、本人からすると苦しくない。そもそ