JR有楽町駅前の果物店「有楽町百果園」で、看板娘として50年以上働き、街を見続けてきた利根川千代さん(82)が30日、退職した。利根川さんは「ここから流行が始まっていった。人間が人懐っこい街で、楽しかった」と振り返る。常連客は「寂しくなるね」と声を掛け、別れを惜しんでいた。 【昭和の貴重な写真】昭和36年12月撮影の有楽町周辺 「いらっしゃい、甘いですよ」「おまけしてあげるよ」。人一倍元気な声で客を出迎える。仕事中のサラリーマン、外国人、買い物帰りの女性らさまざまな客が立ち寄り、串に刺したカットフルーツなどを買っていく。 同店は1951年に開店。利根川さんは55年、社員募集の広告を見て応募した。近くにあった日本劇場の楽屋にはよく配達に行った。サインをもらうのが楽しみで、色紙を隠し持って。早朝は踊り子が果物を買っていった。「華やかだったね」と懐かしむ。 日劇で舞台技術をしていた墨田区