JR岡山駅から北方面に伸びる大通りを歩くこと30分。一帯に高いビルはなく、空はどこまでも青い。正面に広がるのは岡山大学のキャンパス。道路沿いには青果店に自転車屋。牧歌的な風景が続く。 そんな春の散歩に終止符を打つように、目的の場所は突如現れた。1974年に開業した老舗ライブハウス『ペパーランド』。横長の四角い建物にはびっしりとポスターやサイン、ステッカーが貼られ、まだ昼間ということもあって、その扉は固く閉ざされている。 コロナ禍により、日本中のたくさんのライブハウスが閉業した。「不要不急」の言葉の下に「表現」の価値は軽んじられた。そんな世間の空気にあらがいたくて、僕らはここへやってきたのだ。 ライブハウスが町や地域で果たす役割ってなんだろう。50年にわたってシーンを引っ張ってきたこの場所になら、それを考えるヒントがあるはずだ。 店の前にいかついジープが止まる。運転席には全身黒一色のいでたち