農作物の害虫を天敵の昆虫で駆除する「天敵農法」が全国に広まっている。害虫以外の生物を殺したり、人体に有害な化学成分が農作物に残留したりする恐れがない長所がある。害虫駆除効果の高い天敵の開発と利用が各地で進んでいる。 ナスの温室で ナスの収穫量が全国1位の高知県で、ほとんどのナス農家が害虫退治に利用する「タバコカスミカメ」という天敵昆虫がある。体は緑色で、体長は数ミリ。ナスなどの野菜類に付くコナジラミなどの害虫を好んで食べる。2005年頃、全国に先駆けて利用し始め、県内のナス農家の導入率は昨年、95%に達した。 ナス栽培が盛んな安芸市で天敵のカスミカメを増殖する温室を8月初旬に訪ねた。栽培されていたのはナスではなく、観葉植物の「クレオメ」や食用にもなる「ゴマ」。温室は地元のナス農家が共同で管理している。 技術指導に当たる県安芸農業振興センターの桑尾亜須加さん(30)と森田千尋さん(25)がゴ