久しぶりの集まりだったからか、その日の部活は雑談の時間となった。こんな感じで、文芸部の活動はいつだってゆるゆるなのだ。 午後六時が近づいてきたところで、三人で職員室に鍵を返しに行く。りっちゃんが返却を請け負ってくれたので、職員室の外で待つ間、私と真田くんはこんな会話をした。 「遠足、楽しみだね」 「話しかけていい?」 「ハーフアップだったら」 「オーケー」 試験期間中も、今日も、私の髪型はずっとハーフアップだ。お母さんが捨てる予定だったかわいらしい水色のシュシュが、頭の後ろを彩っている。 そう。 私は、自覚していなかった。素直の代わりとしてときどき生きることを課せられただけの、レプリカでありながら。 愛川素直とセカンドを別の存在として見てもらえることに、そのときの私は喜びを見いだしていたのだ。 ◇◇◇ もしかしたら、その罰なのかも。 次に素直に呼びだされたとき、そう思った。 夏休み前の最後