スウィング・アウト・シスター(Swing Out Sister:以下、SOS)ほど、聴く人のタイプによってイメージが異なるグループも珍しい。80年代にUKチャートの最新ヒット曲を追っていた筆者にとって、彼らは “元ア・サートゥン・レイシオのキーボード奏者と元マガジンのドラマーが組み、ワーキング・ウィークのライブで歌っていた女性シンガーを迎えたグループ” であり、ポストパンクのジャンル混交の流れから出てきたユニットとして聴いていた。 1986年にリリースされて全英4位まで上昇した2枚目のシングル「Breakout」が、翌年に世界規模のビッグヒット(全米6位)になってからは、彼らの出自はあまり触れられなくなり、スタイリッシュなポップアイコンとして俄然人気を集めていく。待望の1stアルバム『It's Better To Travel』(87年)は打ち込みを併用したエレクトロ・ポップを主体としなが