要旨 理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センター ビームライン開発チームの片山哲夫客員研究員(高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室研究員)、ストックホルム大学のキョンホァン・キム研究員、アンダース・ニルソン教授らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)[1]施設SACLA[2]を利用し、過冷却状態[3]にある水(H2O)の構造を捉えることに成功しました。 水は生命に不可欠な液体ですが、その挙動に関する理解は不完全です。例えば、温度を下げていくときの密度、熱容量[4]、等温圧縮率[5]といった熱力学的な特性の変化は、水と他の液体とでは逆の挙動を示します。そのため、水の熱力学的な特性については長年議論されており、いくつかの仮説が提唱されています。そのうちの一つが、水には密度の異なる二つの相があり、その間を揺らいでいるという仮説です。しかし、温度を0℃未満に下げた