特定秘密保護法や安全保障関連法、森友文書改ざん……。戦前・戦中の庶民の暮らしを描いた「小さいおうち」で知られる直木賞作家、中島京子さん(56)は、第2次安倍政権下で多くの問題が指摘されながらも強行採決された法案や数々の不祥事に対し、国会前のデモに参加して抗議の声を上げてきた。中島さんが「泥船」と表現した長期政権が醸し出した時代の空気とは――。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】 極めて「安倍政権的」な幕切れ ――毎日新聞のコラム「時代の風」では、安倍政権下の国民は「泥船に乗っている」が、「船長(安倍晋三首相)はしぶとい」と書きました。安倍首相の辞任表明をどう見ますか。 ◆思っていたよりあっけないというか、えっという終わり方でした。ただ、この政権では、終わる理由として、体調の問題か任期満了しか選択肢はなかったと思っています。というのも、森友、加計問題や桜を見る会など、過去の政権なら首相が責