橋口和本論(と呼ばせていただく)から受けた重要なヒントは多く、簡単には整理できない。こういうときは整理を後回しにして、記憶が薄れないうちにインスピレーションをそのまま書きとめ、浮かんでくるアイデアをランダムに書き綴っていくしかない。和本の世界はデジタルと親和性があり、その復興が出版の21世紀を創造的なものにするという確信は、今年最大の収穫であった。和本は世界的な文化遺産にとどまらず、出版とテクノロジーのあるべき方向を示している。(写真は奈良絵本『ゑほしおりさうし(烏帽子折草紙)』) 絵巻は絵画(painting)か書物(book)か 橋口さんの講義は絵巻物から始められている。絵巻は書物(book)として扱うべきだ、というのだが、これは容易ならざることだ。現にWikipedia(1)には「絵巻物は、日本の絵画形式の1つで、横長の紙(または絹)を水平方向につないで長大な画面を作り、情景や物語な