いまの時代、「アレンジド・マリッジ」(両親が結婚相手を決めるインドの慣習)をすると決めたら、友人たちにからかいの種を与えることになってしまうだろう。恋愛結婚とアレンジド・マリッジの二者択一はいつもおもしろい論争の的となってきた。僕の場合、いくら恋愛結婚を擁護しようと思っても、父親のことを思うとどうしてもアレンジド・マリッジに軍配を上げてしまう。実際、それはすばらしいものだと思うし、恋愛結婚に関する知識はみんな本で読んだようなことばかりだからだ。 2カ月前、父はひどいぜんそくのため入院してしまった。お見舞いに訪れてベッドのかたわらに座っていると、父が言った。「お前に結婚してもらいたい」。そして僕の手を取り、すでに花嫁候補を選んでいて、退院したら訪ねに行きたいと告げた。僕は驚いてしばらく言葉を失った。それからようやく「その人は誰?」と尋ねた。すると父は病院のロッカーから自分の携帯電話を持ってく