福島第一原発のメルトダウンの公表が遅れたことについて泉田知事(左端)に8月25日、謝罪した東電幹部 (c)朝日新聞社 原発立地県の首長としてただ一人、原発再稼働へ“抵抗”を続けていた泉田裕彦新潟県知事(53)の挫折は、脱原発派、推進派ともに衝撃を与えた。あまりに不可解なニュースの裏で何が起きていたのか。泉田氏を包囲し、追い込んだ“原子力モンスター・システム”の正体とは──。 泉田新潟県知事は、これまで事あるごとに東京電力が目指す柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働への動きに立ちふさがってきた。いわば東電の「天敵」だった。 東電が再稼働を切望する柏崎刈羽原発は、現在6、7号機が原子力規制庁の新規制基準への適合審査を申請中。今秋にも規制庁が「ゴーサイン」を出すとみられている。しかし、泉田氏は「再稼働の前に福島第一原発事故の検証・総括が必要」という考え方で、県として独自に安全性を判断す