とても尊敬している先輩がいる。 駆け出しのころから、公私ともに世話になったジャーナリストだ。 どのくらい世話になったかというと、たとえば、私は結婚式を挙げていない。披露宴も催していない。新婚旅行にも行っていない。スケジュールを調整できなかったのもあるが、要は面倒くさかったのだ。 当時は婚約者だった家内と、式をどうするかと話しあったことはある。当初は、挙げないわけにはいかんだろうと思っていたから。が、それぞれの招待客を書き出してみて、やっぱりやめようということになった。招待すべき人が多すぎるのだ。つきあいのあるライターや編集者はもちろん、編集長や前の編集長や前の前の編集長も呼ばないわけにはいかない。それが編集部ごとにある。中には、もう取締役になったようなお偉いさんもいる。 幸か不幸か、そのころ私は超売れっ子になった作家さんやライターの方々とも懇意にさせてもらっていたので、式を挙げるとなれば、